2022/05/26 13:39
この度、Ikumi Yasuzaki・Akane Misumiによる展覧会「記憶は思い出すたびに、」を開催する。それぞれの仕事をもつ傍ら、アーティストとしての顔を持つふたりは、ペインティングによる抽象的な表現を通じ、自分たちが本当に心地よいと感じる景色を探し求める。
彼女たちの制作は、記憶を辿り直し、流れる日々に埋れていた感情を掬い上げる行為と言えよう。それが繰り返されることで、作品が生まれていく。まるで、自己の深層へと潜っていく探究活動のようだ。自らの琴線にふれるものを掬い上げ、表現によってカタチある確かなものとし社会へと出力することは、偽ることない自分自身を肯定的に認める行為でもあるだろう。
溢れる情報に目まぐるしい街の変化、節度ある大人の常識……、年を追うごとに積層されるフィルターによって、私達の視界は徐々に曇り、狭まっているのではないだろうか。
ふたりの作家たちのスタイルは、私達が知らず知らずのうちに渇望していた生き方かもしれない。
作品には、暮らしの中に見出された何気ない美しさや、繊細なゆらぎが映し出されている。彼女たちの作品に出会うすべての人々が、自分の心を揺さぶるもの、感性を突き動かすものは何だろうと、今一度、想いを馳せるきっかけになれば幸いである。
文:青柳 シラ
皆さまにお会いできることを、心より楽しみにしております。